須坂市動物園日記 - 須坂市動物園飼育スタッフから情報発信!
須坂市動物園日記
投稿の詳細: 皆さまのおかげでウズラのヒナが誕生しました!
2022/07/28
皆さまのおかげでウズラのヒナが誕生しました!
南園 家畜ゾーンより、またまた嬉しいお知らせです!
7月15日にウズラのヒナが誕生しました!
なんと!須坂市動物園でウズラの自然繁殖に成功したのは、今回が初めてです!!!
こちらは孵化して4日のヒナです↓
なんて小さいのでしょうか…
ウズラの家畜化の歴史は長く、今の「家禽ウズラ」の飼育は世界で日本が最初といわれています。
600年ほど前から飼養している為、卵を孵す本能がすでに失われてしまっており、卵は産むが抱卵行動をとらないことが多く抱卵から誕生、育児までおこなう個体はかなり珍しいです。また、動物園や観光施設などの人が多く出入りする飼育環境下では、さらに難しくなります。
当園では2007年より本園にて飼育を開始しました。2007年と2017年2018年の3回は人口繁殖でおこないましたが、今年度2022年7月15日に27個の卵のうち、7個が自然繁殖による孵化が成功しました。そのうち3羽は残念ながら死亡してしまいましたが、4羽は現在も元気に成長中です(残りの2個はヒナまで成長はするが卵の中で死亡、18個は無精卵でした)。
ヒナは母親のそばで甘えたり、大胆にも他の大人のウズラと一緒に走り回ったりと順調に大きくなっています。小さい体で餌を頑張って食べる姿はとても可愛いらしく愛おしいです。♡
2017年より本園から南園(家畜ゾーン)へ移動。ヘビや小獣、猛禽類やカラスらの侵入を防ぐ為、コンクリート壁に鉄のアミにて建築。獣舎内には砂をひき、日陰や隠れ場所としてアラカシの葉が付いた枝の束を数カ所に設置。その枝を設置した2018年から稀に数羽のメスが枝の影に10個ほどの卵を産み抱卵はするものの1週間ほどで抱卵をやめてしまいました。
2021年から本格的に繁殖計画をおこない来園者への「展示」を中止せず「自然繁殖」にチャレンジしました。2021年は20個の卵を抱卵しましたが孵化予定の21日目を過ぎても孵化しない為、24日目に卵を回収し終了しました。4羽はヒナになっていましたが、卵の中で死亡していました。またほとんどが無精卵でした。今年度は環境をさらに自然に近くなるように整え、生の植物をおき湿度を確保したり、アラカシの枝の束も新しいものと交換せず羽と同化するまで葉を茶色にしたり、落ち葉などもそのままにしました。
抱卵時のメスは警戒心が強く、振動や騒音で抱卵をやめてしまう事が多いため、今年度は抱卵の確認ができたら日からその周辺の掃除をやめ、刺激を極力減らすように心掛けました。また来園者の方々にも「抱卵中」の看板を表記し協力をしていただきました。コロナ禍とはいえたくさんの来園がある中、無事に孵化できたのは来園者の方々の優しさや温かさ、ご理解ご協力のおかげだと思っています。
また今年度はもう1羽も抱卵中です。このメスはケガにより足に障害がある中での抱卵ですが、一生懸命に卵を温めています。さらなる孵化を期待中です。引き続き来園者の方々には温かく見守っていただければ幸いです。
ウズラのヒナは早成性の離巣性であるため、19日ほどで飛べるようになってしまうので、小さくて可愛いヒナの姿をみられる時期はとても短いです。
ぜひこの時期ならではのヒナたちに会いにきてくださいね!
※早成性→卵から産まれたヒナがすぐに活発に行動できる性質をもっていること
※離巣性→卵から生まれたヒナが親とともにすぐに巣から離れて生活する性質のこと
※現在、南園のポニー舎改装工事のため、平日はウズラ舎への通路が立ち入り禁止となっております。展示中止の詳しい内容はこちらのブログをご覧ください→こちらへ
土日祝日は展示を再開しますので、もし可能であれば土日祝日にご来園いただけるとウズラを含め、南園の動物たちに会うことができますのでご理解、ご協力よろしくお願いします。