須坂市動物園日記

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投稿の詳細: トラの未桜(メス)が亡くなりました

2025/08/15

トラの未桜(メス)が亡くなりました

先日のモルモットのかぼちゃ♂のお知らせに続いて
みなさんに悲しいお知らせをしなくてはならなくなりました。

8月12日(火曜日)にトラ(ベンガル系)のメスの未桜(みお)が老衰のため亡くなりました。
今年の6月に20歳を迎えたところで、きょうだいのオスの臥桜(がお)とともに国内飼育のベンガル系のトラでは最高齢でした。
トラが左をむいて座っているようす(上半身のみ)

今年の冬に一度体調を崩すことがあり、治療等をおこない回復傾向にありました。
しかしその後も何度か食欲不振になることがあり、徐々に摂餌量も減っていたためエサの内容や形状等を変更するなど対応していました。

春辺りから未桜が展示場に居ない日や暑さで寝室移動が早まるなど、来園されたみなさんにはご理解いただき感謝しております。
また、これまでにおいしいプレゼントもいただくことがあり、食欲不振の際には大変ありがたかったです。
さらに冷房機器の寄贈もされ、この猛暑期には大変助かりました。
これまで会いに来てくださったみなさん、snsなどで応援いただいたみなさん、各方面から応援していただいたみなさん、ありがとうございました。

8月15日(金曜日)よりトラ舎寝室前に献花台とお別れノートを準備いたします。
雨の心配がある日は、お別れノートは中央休憩所にあります。
献花台の設置終了期日は決めておりませんが、終了数日前には須坂市動物園公式X(エックス)でお知らせする予定です。

「トラの未桜について」
種類:トラ(ベンガル系)
愛称:未桜(みお) 
性別:メス
生年月日:2005年6月9日
入園日:2008年3月17日
出生場所:秋吉台自然動物公園サファリランド(山口県)
須坂市動物園代表動物任命:第一回須坂市動物園代表動物選挙で初代代表に任命。任期2011年4月1日~2012年3月31日
トラの未桜が直立した丸太に右前足をかけているようす

「須坂市動物園で過ごした未桜」
未桜は、現在飼育中の双子のきょうだいの臥桜と一緒に須坂市動物園に来園しました。
もうじき3歳になる頃にやってきた2頭はまだどこかあどけなく、体つきも細かったことが記憶にあります。
つい最近と変わらないことは、未桜のほうが強いということです。
左:臥桜、右:未桜
2頭のトラが顔を向かい合わせているようす 左が臥桜(オス)、右が未桜(メス)
未桜の威圧的な様子にいつもたじたじの臥桜でした。
例えば遊具に先に臥桜が興味を示しても、そこに未桜が来ると臥桜は退散します:.
水浴び池を新設した時も、臥桜は数回入った程度で未桜が占領してしまうほどでした
トラが左向きに横たわり、石造りの池に入っている様子

水浴び池の様子を伺う未桜
水浴び池の水に片足を付けて様子を伺う

通常、成獣のトラは単独生活をしますので動物園などでもなかなか展示場で成獣2頭を一緒に展示していることはあまりないと思います。実は、まだ若いきょうだいだった2頭は前施設では2頭同室で飼育していたとのことで、当園来園時の緊張緩和のためにもしばらくは同時に展示場に出して様子を見ることにしていました。
しばしば未桜の臥桜に対する威圧的な態度もみられましたが、臥桜が穏やかな性格だったためか小傷をつくる程度のきょうだい喧嘩で済んでいたのと、飼育環境の中で2頭の刺激になっているようにも見られたので結局これまで2頭一緒に展示場で過ごしてきました。ちなみに寝室は来園当初から各個体別々で毎朝、展示場に出ると鼻をフフフフンッと鳴らしあってあいさつをして一日が始まりました。未桜の機嫌もよく何事もなく穏やかな日もありました。
左:臥桜 右:未桜
やぐらの上段に伏せている2頭。
しかし、2頭が高齢になってくるとこのことに関して二転三転と心配なこともありました。まずは15年以上もこの状況を継続してきたので、先にどちらかがいなくなってしまったら残ったほうは意気消沈してしまうのではないかと。そんな心配をしたこともありましたが、年を重ねるといろいろあるもので未桜の威圧的な様子に臥桜がストレスを感じているのではないかという様子も見られることがあり、展示環境についてあれこれ考える時期もありました。
2頭が一緒にいる様子を見られなくなるのは寂しいですが、最終的には未桜が展示場へ出ることができなくなってしまい、数週間は臥桜だけで展示場へ行く日が続いていましたので、今思うと2頭のお別れ前の準備になったかもしれません。
手前:臥桜  奥:未桜
2頭が横たわり近くで休息する様子。手前が臥桜、奥が未桜

未桜は素晴らしい功績も残しました。2011年3月に開催した第一回須坂市動物園代表動物選挙で初代代表に任命されました。
こちらは当時の選挙ポスターです。
党名は「ジャスミン党」、キャッチコピーは「もちろん私が一番ですわ、余裕ですもの!」と自信満々のポスターで見事1位になりました:) 得票数:383票 得票率21.17%
水色の空の下に気持ち良さそうに横たわる未桜のポスター
任期期間は2011年4月1日~2012年3月31日で、期間中の毎月30日を語呂合わせで「3(み)0(お)」の日として当時の担当者が特別ガイド等のイベントをして須坂市動物園の盛り上げ役となっていました。

臥桜にも強く、余裕で1位になれた未桜でしたが、どうしても苦手なものがありました。
それは、取材用の撮影カメラで特に大型のものが苦手でしたXX( 
人気の動物だったのでありがたいことにこれまで多くの取材がありましたが、その度に取材の方にその旨をお伝えしていました。
カメラを向けられると吠えて怒ることもあり、そうなると取材の方には退散していただかなくてはならず… カメラが近くを通るだけでも緊張した面持ちで見張っていました。何が原因なのかわからなかったのですが、とにかく嫌だったようです。
目を見開いて先の方を見つめる表情
ちなみに臥桜はまったく気にしません:crazy:

臥桜と未桜の愛称は来園間もなく公募で決まりました。たくさんの応募の中、臥竜公園の桜と未来の須坂市動物園をイメージさせるとても素敵な愛称で2頭の長寿にもつながっているのかもしれません。余談ですが、副担当2年目の飼育員が何度か「未桜」を「美桜」と書き間違えることがありました。そのくらい未桜は美しいトラだったと思います。
毎日、臥桜を狙うのが日課で、凛とした表情が印象的でしたが、わがままな面もある愛らしいトラでした。
正面を向いて座っている未桜

大きくあくびをする様子

これまで未桜に関わってきた主担当飼育員は6名です。偶然にも私は未桜の最期を担当することになりました。
双子のきょうだいの臥桜は現在元気に過ごしていますが、高齢のため今後の様子によって展示状況の変更など予想されます。
今回の未桜の療養時でのことを臥桜の今後のケアに活かせるようにしたいと思っています。

目を細くしてにこやかな表情に見える未桜の顔
ありがとう、未桜