須坂市動物園日記

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投稿の詳細: 7月29日は「世界トラの日」です

2021/07/29

7月29日は「世界トラの日」です

『世界トラの日』とは…
2010年の国際会議「トラサミット」で制定された、
絶滅危惧種であるトラの現状を知り、
保全のためにできることを考える日です。

トラは肉食動物で強いから、きっと野生でも強くてたくさんいるのでは?
と思うかもしれませんが…
実は野生のトラの仲間は現在生息数が減少し、
トラの9亜種のうち3亜種がすでに絶滅しており、
残りの亜種も国際自然保護連合(IUCN)の基準で絶滅危惧種や近絶滅危惧種に分類されています。
※[亜種]とは[種]の中でさらに細かく分類したものです。
 トラという同じ動物種でも、生息地域や環境などによって
 毛の長さや習性などわずかにみられる違いを[亜種]として分類しています。

須坂市動物園ではトラ(ベンガル系)を2頭飼育していますので、
この日にあわせて少しだけですがイベントを開催しました。
 
トラ舎前ではパネル展示を行い、
今日は、ちょこっとですがガイドも行いました。
とっても楽しいお話というものではないのでむずかしいなぁと思われたかもしれませんが、
この機会に野生のトラの仲間が生息する環境のことや生態などを知っていただき、
トラに興味をもっていただけたらうれしいです。

パネル展示の様子

トラの生態など、基本情報を紹介した、
「トラってこんな動物です」その1~その3まで展示しました:)

20世紀の初め頃には、10万頭いたとされていた野生のトラの仲間たちは
現在生息域の大規模な減少や密猟などが原因で、個体数が急速に
減少してきており危機的状況に置かれている種が数多くいます。
2010年には各種合わせても約3,200頭にまで生息数が減ってしまっている状況でした。
この年に開かれた国際会議「トラサミット」での「世界トラの日」制定をきっかけとして、
トラの保護活動が推進されるようになってきています。
密猟などの取り締まりが強化されるなどで、わずかずつ頭数が増えてきている地域もある中、
さらに減少してしまっている地域もあるようです。
原因のひとつとなっている生息域の減少とは森林伐採のことです。
木々が無くなるとトラだけではなく多くの野生生物の生存にもつながります。
植物油生産や紙の原料パルプ生産のための農地開拓、また木材としての輸出は、
私たちの日常に使われているものだということも忘れないようにしたいものですね。

動物園のトラを観察しながらだとなかなか想像が付きにくいことだと思いますが
きっかけとなればと思います。
担当としても、改めてトラの仲間のことを考える日になりました。