須坂市動物園日記

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投稿の詳細: 里山賛歌

2014/10/01

里山賛歌


10月13日まで、企画展の開催をしているため、
休園日などは早めに飼育作業をこなして、夕方から
採集作業をしています。
作業しつつも、なんとなくではありますが「そのフィールドに
どんな生き物がいるか」という調査もしています。
文化施設・研究施設でもある動物園ではもうすこし
こうした業務が認められたら良いと思いつつ、その入り口
を作らねば、保たねば、と思いながら採集作業しています。

例えば、ちょっと川一本挟んだり、何か移動に障害があるような
場所だと道路一本でも同じ昆虫がいたり、いなかったりと
いうことにも気づきます。
また「あそこに〇〇がいるよ」なんて話を聞いて
実際に見に行くのも調査の一環です。

その町、その土地の方にはなんてことがないもの・当たり前
でも「市」「地域」レベルで見た際にに生息域や生存可能な条件が
整っているか(水源・水質・生息環境)を知っている・データ
があるということは、街づくりや景観・道路整備・水路整備
等々に必要なってくるわけです。きっと。

当然、動物園や水族館での飼育スキルを高める知識・幅の広さ
に繋がります。

それをもっと「大袖を振って」、「仕事だ!必要だ!」
と言えていれば、言えるような環境であれば、施設内外で
教育普及が出来れば、生き物たちの環境も地域の皆さん
の世界も広がり、様々な部分で個々が柔軟な考え方が出来る
ようになると思うのです。施設ももっと良くなっていくように
思います。


そのためにはこうした「里山」についても見識を広げるべきなのですが
自分もしかり、これが「当たり前すぎる」環境だと
ついつい忘れてしまいます。割かし、近年は地球規模・世界規模の話題
が動物園業界自体も好きな方が多いのですが。それには
近いところで学んだり、考えたり、思考するトレーニング
も必要だとこうした場に立つと考えたりします。

夏休み県外へ出たり、色々な場所・フィールドを堪能することで
こうした地元の里山賛歌というか「当たり前の良さ」に気づきます。

慌ただしかった夏を終え、秋の里の夕暮れにふと日常の中で
足を止めることの良さに気づきます。
自分たちの場合、これが仕事中だから尚更ですが・・・。


さて、先日伺った「〇〇」がホントにいるかは、夏場はあまり
行けません。稲穂が茂り、収穫物があるからです。
自分たちはそちらにはあまり関心がなく、稲刈りの後は
サイコーです。
彼らが隠れる場所もなく、動きやすいからです。農家の方にも迷惑
はかかりません。

こんな畔の小川を見つけると、童心に帰りワクワクして
覗いてみます。
実は団地育ちだった自分、実はこうした場所はまだまだ探検隊か
スタンドバイミーか、という気持ちになり未だにワクワクして
しまいます。

こういうとこ、ちょっと歩くと「いるいる」!
来年は
ここちょっと覗けば「〇〇」が採集できる。
更に「これがいると、きっとこれもいる」という
憶測も立てやすいのです。

で、この水源にそって歩くのも楽しいものです。


普段通っている方々にはちっとも珍しくないかもですが、
立派な「サワガニ」があちらこちらに。

ここに「いる」ってのが大事で、実際に手に取ってみる
のも昔は遊びの中で学んでいたはずです。

近年、こうした部分のアンテナを立てているせいか
年ごとに「自分たちの世代くらいから見られなくなった」
と言われる生き物たちが「ちょっと増えている」
という感覚があります。

ここン10年、日本人はひたすら走り抜け、変化し続け
暮らしや環境も大きく変わりました。

この「見られなくなった」という生き物たちは、そんな日本人
の生活の側で、生活に合わせて、生態を身につけ、生きてきた
生き物たちです。

近年、再度「里山」という場所や土地が見直されています。
そうした場が普通に残され、機能していれば、美味しく安全な
作物も得られ、たくさんの生き物たちとの出会い
に繋がります。

ここ数日、とても天気良い日が続いています。
たまにはホッと一息、こんな里山の夕暮れ時のお散歩なんて
いかがでしょう。道草くって、色々手に取ってみて、
ふっと夕陽が当たる街など眺めれば、色々物思うことや大事しない
といけないものが見えてくると思います。

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