投稿の詳細: 三枚の写真
三枚の写真
仕事一筋で頑固な父とは、私が学校を卒業して家を出てからほとんど会っていない。
父の定年退職のお祝いも、なんだかんだ言い訳をつけて行かなかった。
ある日、母から電話。
「お父さんが倒れちゃって、すぐきてくれんか」
私は、父の最期に間に合わなかった。
数日後、母を気遣いつつ遺品整理をしていた。
父の生前愛用していたと思われるカバンからカメラが一台。
「お父さん無趣味だったでしょ、退職金で買ったのよ」と母。
まだカメラは新しく、フィルムは3枚しか撮影されていなかった。
私は母に頼まれ写真を現像にだした。
仕上がった写真。
私には興味もなかった。
でも、たった三枚なので無意識に見ていた。
一枚目には家の庭が写されていた。
そして、二枚目に母が洗濯物を干しているところ。
最後の三枚目
私は突然鼻の奥がつーんとしたかと思うと目からは涙が溢れた。
私が小さい頃父と撮った数少ない写真のうち1枚。
そして母に送ったはずの私と夫、来月1歳になる息子の写真。
その2枚をテーブルに並べて写真を撮ったようだった。
やるせなくて、自分が許せなくて、涙が止まらなかった。
