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いくいく Mura3

投稿の詳細: 11 北海道へ、そして。

11 北海道へ、そして。

この小説フィクションです。
登場人物、団体等のほとんどが架空であり、内容もつくりのものです。

[続き:]

 僕は、寒いのが大嫌い。
なのに。。。
8月の北海道は、僕にとって長袖トレーナが必要なほどの気候だった。

部隊に配属され、目の前に憧れていた航空機が何機も羽を休めている。
整備員としての研修を受けていない僕は、事務所の掃除やお茶くみなどの雑務をしていたが、それも数日で、静岡にある浜松基地への整備員研修に入る。
これが終わる頃には、いよいよ祐子さんが北海道にやってくる。
毎日の電話の中でも、着々とその準備がすすんでいるということが、話題にのぼっていた。

約3ヶ月の研修が終わり北海道千歳に戻ると、そこはすでに防寒着が必要なほどだった。

「明日だね、松本空港を出る前に電話ちょうだい」
「うん」
「荷物、アパートに届いてるよ」
「中見ないでよ~」
「わかってるよ」
「また、一緒に海が見られるね」
「うん、気をつけてね」
これが、最後の会話になろうとは、その時は予想すらできなかった。

翌日、休日だというのに、定時よりも早く事務所に呼び出された。
休日でも数名は、緊急発進のサポートのため事務所に待機している。
「清水、気をたしかに」
「何ですか?」直属の上司にあたる小隊長が、休日にもかかわらず事務所におり、僕に話しかけてきた。
「君の婚約者、今日こちらに来ることになっていたようだが」
「はい、またきちんと紹介させていただきます」
「それが。。。」
「はい?」
「先ほど、交通事故で亡くなったと連絡が入った」
「そんな。」
それから、僕が何をしゃべり、何をしたのか憶えていない。
気がつくと千歳空港のロビーにあるベンチで呆然としていた。

どのくらい時間がたっただろう。
突然両脇を抱えられ、外に止めてあった自衛隊の白い車に乗せられた。
「自衛隊の白い車」これは警務隊の車両。
自衛隊内の警察といった隊で逮捕権など警察と同等の権限が与えられている部隊。
小隊長が心配して捜索身柄確保を指示したそうだ。

悲しくない、なんだか解らない。
理解できない、何かの間違いでは。

僕が理解できることといえば、空が青く遠かった。

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