2025「須坂に残る戦時資料」展-戦後80年語り継ぐ銃後のくらし-から
現在開催中の「2025『須坂に残る戦時資料』展」の展示概要をご紹介する4回目は「2 銃後の暮らし」のうち「(3) 防空態勢・消防訓練」についてです。
昭和16年(1941)12月8日の真珠湾攻撃からわずか4か月後の昭和17年4月18日、アメリカ軍のB25爆撃機により日本本土(東京)は初めて空襲を受けました。昭和19年6月サイパン島をアメリカ軍が占領し、日本本土爆撃の拠点となり11月には東京が空襲を受けました。その後昭和20年(1945)3月10日東京大空襲があり、引き続き大阪、名古屋、広島といった大都市が空襲を受け、空襲を受ける都市は増えていきます。
昭和12年の防空法制定以来防空訓練は各地で行われていましたが、戦況の悪化を受け昭和20年、県下一斉に総合防空訓練が実施されることとなりました。
【総合防空訓練に関する件】

総第592号
昭和20年4月6日
町内会長
警防分団長 殿
須坂町長 田中邦治
須坂警防団長 上原吉之助
総合防災訓練に関する件
敵の空襲本格化するに際(拠)り防空敢闘精神の振起昂揚と実戦的防空態勢の整備強化を図るため、左記要領に依り全県下一斉に総合防空訓練を実施することと相成りたる趣き警察部長より通牒これ有りたるを以って、その防空力を遺憾なく発揮し、訓練所期の成果を納め得るよう格段のご努力相煩わし度、此後及通知候也
防空訓練実施要領
第一 目的
敵の集中波状攻撃は夜間の無差別爆撃に対する防空各機関初動態勢を強化し、特に隣組を中心とする各種防空機関初期防火における果敢強靭なる敢闘精神の振起昂揚を図ると共に反復空襲被害累加時の警察警防団等の主動防災機関の大火災に対する防火消防活動及び夜間混乱時における各種救護機関の負傷者の救出救護等の防空諸活動に重点を置き、それを演練し以って決戦下の防空態勢を強化せむとす。
第二 主要訓練科目及主眼点
一 防護監視及退避(警防団、特設防護団による防護監視)
1 速やかなる敵機の補足と的確なる退避信号の打鳴(又はラッパ)
2 退避信号による敏捷的確なる退避
二 消防、防火
1 反復空襲に対する隣組を中心とし各種防災機関の行う初期防火消防活動。特に退避より消防防火への敏速なる移行
三 緊急避難、救護
1 夜間における老・幼・病者等の適切なる緊急避難の誘導
2 夜間混雑時における隣組、警防団、特設防護団、学校報国隊の負傷者の迅速・的確な救出・搬送並びに応急処置
3 灯火管制下又は電燈破壊時における医療機関の救護活動
第三 訓練実施要領
一 期日 昭和二十年四月九日 午後四時より同九時迄
二 実施区域 県下各市町村
三 参加範囲 警察、警防団、特設防護団、市町村防空機関、学校報国隊、一般隣組、実施区域の通信・鉄道・電気・瓦斯・水道の各機関、其の他
四 実施内容
1 本訓練の細部については所管警察署において実情に応じ御適宜計画を樹て実施するものとす。
2 通信、鉄道、電気、瓦斯、水道の各機関においては本訓練に即応する計画を樹立、実施すること。
3 工場に対しては警察署管内における範例となるべき適当なるもの一ケ所を指定、警察官指導の下に実施せしめ、爾余の工場に対しては特設防護団長(工場長)、其の他防空の指導に当たるべき者をして見学せしむること。
第四 真防空警報発令時の措置
一 警戒警報発令時
訓練実施前(午後四時)又は訓練実施中に警戒警報発令せらるるも、訓練を実施又は継続するものとす。但し、敵機本県の上空にあり又は本県に侵入する危険ある場合(ラジオ情報によること)中止としこれに備えるものとす。
二 空襲警報発令時
空襲警報発令せられたるときは訓練を中止し、真敵に備え其のまま所要の防空態勢に転移し、空襲警報解除後は警戒警報発令時と同様措置するものとす。
三 其の他
防空警報発令により中止せる機関の状況は、実施せるものとして、その後の状況により引き続き実施するものとす。
(第五 省略)
アメリカ軍は空襲に先立ち告知のビラを撒いており、長野市については7月31日に撒いています。そのため、防空態勢の強化について次のような通知がされています。
【防空態勢の強化に関する件】

警防收第494号
昭和20年8月1日
須坂警察署長
各 官公衙 殿
学校長
警防団長
町村長
特設防護団長
受持巡査
防空態勢の強化に関する件
各種情報を総合するに一両日中に本県に対する敵機本格的空襲の公算大なるものあるに付いては本日より向こう一週間位の間特に官公衙、警防団、工場特設防護団等の防空主動機関は元より学校、一般隣組等の防空態勢を強化完備し、警戒に努められたく、此段及依命通牒に及び候也
追って官公衙、学校、工場等においては特に宿直員を増強し警戒を厳にするよう配意相成度
長野市が空襲を受けたのは8月13日で長野飛行場、国鉄長野駅機関区(庫)を中心に5回の空襲を受けました。なお、長野市への空襲については、長野空襲を語り継ぐ会発行の「長野が空襲された」にまとめられています。文書館でご覧いただけます。
※防空に関しては「須坂市誌第5巻第六章 太平洋戦争と須坂 第二節 太平洋戦争の拡大と町村民の生活」に記載しています。
※長野を含む12都市に対する空襲予告ビラは奈良県立図書館ホームページに掲載されています。
https://www.library.pref.nara.jp/collection_sentai/gallery/936
次回は「3 翼賛体制・選挙」に関する展示史料についてご紹介します。
2025「須坂に残る戦時資料」展-戦後80年語り継ぐ銃後のくらし-
1 会期:2025年9月18日(木)まで
会期中は土・日曜日、祝日も開館(無料)
2 会場:須坂市文書館(旧上高井郡役所内)
時間:午前9時~午後5時
3 観覧料:無料
◎文書館ではアジア太平洋戦争関連図書コーナーを設置しています。