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投稿の詳細: 酒ナシ日ノ件

2024/01/10

酒ナシ日ノ件

11:13:08, カテゴリ:  

酒ナシ日ノ件(八重森町区有文書から)

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、今なお安否不明者が100人を超えるなど、被害の全容が明らかでなく、本格的な被災者支援・復旧の見通しも立っておらず、冬本番の中で厳しい避難生活を強いられている皆さんが一日も早く普通の生活に戻れることを願っています。
さて、2023年は、1923年(大正12)9月1日に発生した関東大震災から、100年目でした。関東大震災は、死者・行方不明者は約10万5000人、被害を受けた住家は総計37万棟と首都圏に未曾有の被害をもたらし、昭和35年に9月1日は防災の日と定められました。
今回ご紹介する文書は、昭和2年8月29日に、日野村役場から第四区(現八重森町)長に出された通知です。

【酒ナシ日ノ件】
kutyouatetuuchi
来る9月1日は関東大震災4周年の記念日に相当り候に付き、全国一斉当日一日絶対に酒を飲むことを止め、以って国民精神の作興及び質実剛健の気風を発起し、而して一日平均酒の消費高四百万円の全額を他の有用の資に転用し、国民の福利を増進すべき様達せられ候間、然るべくご配慮相成り度、此の段及移喋候也

なぜこのような通知をしたのかは、須坂町役場の「社会書類編冊(昭和2年~昭和3年)に残されていました。8月22日付で財団法人日本国民禁酒同盟が社会局長あて「『酒なし日』の計画」と題する依頼文を出し、学務部長名で各市町村長あて「禁酒宣伝ニ関スル件」として通知しています。
※財団法人日本国民禁酒同盟は、現在一般財団法人日本禁酒同盟と名称変更し活動を続けています。

【学務部長通知】
gakumubutyoutuuchi
社乙第六二二号
昭和二年八月二十七日
学務部長
各市町村長殿
禁酒宣伝に関する件
今回財団法人日本国民禁酒同盟会に於ては、来る九月一日関東地方震災記念日に際し、全国一斉「酒なし日」実施の計画を以って各方面の協力方申出之有たる旨を以て社会局部長よりの照会も之有たる次第に付、別紙写御含みの上、然るべき御取り計らい相求め度し

【日本国民禁酒同盟依頼文】
kokuminkinshudoumei
昭和2年8月22日
財団法人 日本国民禁酒同盟
理事長 長尾半平
社会局長 岡 隆一郎殿
一 九月一日「酒なし日」挙行に関するお願い
来る九月一日震災記念日に際し、別紙計画に依り全国一斉「酒なし日」実施につき、其の趣旨並びに実行の徹底を計る為め、地方庁各位が此挙にご協力為し下さるよう道府県に対し御勧奨方御高配賜り度く此段御願い申上げます。
(別紙)
「酒なし日」計画
一 酒なし日の趣意 九月一日大震火災記念日に当り、横死犠牲者の冥福を祈り緊張したる精神を以って国民的反省を為し、将来に向って発奮の機会たらしむるは民風作興上極めて重要事なし而して、一日四百万円を消費しつつある酒類飲用を慎むは九月一日を迎ふる最適切の方法なるは、既に三回行われし「酒なし日」の経験により明らかなり。乃ち今回一層徹底的に「酒なし日」を挙行せんとする所以なり。
二 酒なし日挙行期日  昭和二年九月一日
三 酒なし日挙行範囲  全国一斉
四 酒なし日の主催者  官民協力
  道府県社会課、学務部、社会事業協会、社会事業団体、教化団体、教育会、婦人団体、青少年団、軍人会、其他の公共団体、学校、新聞社及び有志を網羅せる連合委員会(全国酒なし日同盟)を組織し、官民一致これに当たる。
五 酒なし日の行事と方法
 1 九月一日に行はるべき公的会合を用ひざる事
 2 各個人相戒めて飲酒を慎むこと
 3 印刷物配布、ポスター掲示により趣意の徹底を計ること
 4 講演会、活動写真、路傍演説、行列其他の催し事により趣意の徹底に努めること
 5 ラヂオにて趣意の放送をなすこと
 6 新聞雑誌に趣意及び報導の記載を依頼すること
 7 学校長より学生、生徒に訓辞を為し、趣意の徹底を計るやう依頼すること