須坂市指定有形文化財 平成元年10月1日指定
神社の賽銭箱の真上あたりに大きな鈴がかけられています
鈴がかけられる以前は、鰐(わに)口(ぐち)という鐘が吊されていました。
井上の小坂神社には約600年前に製作された鰐口が保管されています。
昭和初期までは実際にかけられていました。
北信濃では最古であり唯一、室町時代にさかのぼる資料です。
鰐口は銅製で、直径約22・1㎝、厚さ約5.5㎝、約2.1㎏の重さです。
外周には
「奉寄進 信州高井郡今里宝積寺 願主焦仙 応永廿一年七月十八日」
という銘文が刻まれています。
ここから応永21(1414)年に「焦仙」という人物が
宝積寺に奉納したことがわかります。
これまでに不明だった宝積寺ですが、
最近、この寺名が「永禄六年北国下り遣足帳」という文書(もんじょ)に
善光寺と並んで記載されていることがわかりました。
おそらく、永禄6(1563)年当時は
善光寺に並ぶほどの寺院だったのでしょう。
宝積寺に奉納されたこの鰐口が、小坂神社に移ってきた理由など、
まだまだ謎の多い文化財です
今後少しずつその内容が明らかになっていくと思われます。
井上地区では、現在国道403号の拡幅工事に伴い
井上・幸高遺跡の発掘調査を行っています。
出土した古代や中世の土器などにより
新たな歴史の一面が明らかになりつつあります
なお、この鰐口は大変貴重な資料のため、一般公開を行っていませんが、
今回特別に須坂市立博物館で公開展示することになりました
須坂市立博物館 鰐口特別展示
とき 9月13日(火)~10月16日(日)