9月11日・12日と税理士会の研修会を受けました。長野市のホテルメトロポリタンで行われました。
その中で、相続に関わる民法改正についての話がありました。
たとえば、2,000万円の自宅と3,000万円の預金を持っているAさんという人が亡くなりました。Aさんには奥さんと娘が一人います。仲がよくなくて話がまとまりません。そうなると法定相続分で分けることになります。奥さん、娘さんそれぞれ2分の1ずつです。奥さんは今の家に住み続けたいので自宅を受け取ります。そうなると、3,000万円の預金は2,500万円が娘さんで500万円は奥さんが受け取ります。奥さんがまだ70代だとしたら500万円ではこの先の生活費として心細いです。
今回の民法改正で配偶者居住権が新設されました。これは、相続が発生する前から配偶者が住んでいた自宅は、配偶者が自宅の権利を相続しなくてもずっと住んでいていいですというものです。どういう効果が期待できるかというと、先ほどの例で、配偶者居住権を1,000万円とします。そうするとそれを除いた自宅の価値は1,000万円になります。奥さんは配偶者居住権1,000万円と預金1,500万円、娘さんは残りの自宅の価値1,000万円と預金1,500万円にすることが出来ます。
普段、相続に関わっていると、奥さん(子どもから見てお母さん)と子どもの仲が悪いということはまずありません。この場合でしたら法定相続分に関わりなく、自宅は奥さん、預金は1,500万円ずつに分割するかと思います。しかし、世の中が変わってきています。亡くなったAさんは離婚しています。今の奥さんは後妻です。先妻との子がいます。そうなると、後妻と先妻との子は必ずしも仲は良くありません。こういう事例が増えているからそれを踏まえて民法が改正されたのだとのことです。