須坂市動物園日記

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投稿の詳細: ワオキツネザルからアイアイの現地のはなし。

2012/11/29

ワオキツネザルからアイアイの現地のはなし。

昨日のカピバラとモルモットのお話の続きですが、、、、
もうひとつ、ワオキツネザルが導入されたことで解説のバリエーション
の中に生息地「マダガスカル島」のサル達の不思議な生態から
日本人にはお馴染みの「アイアイ」の話題が加わりました。

ワオキツネザルはアニメのキャラクターにもなっていて
動物園がない街の方々にもとっつきやすいサルのひとつのようです。
おかげさまでお昼前になり動き出すと、カメラ片手にご覧
いただき、解説もたくさんの方が集まっていだたき
彼らの不思議な生態を実際に観察していただきながら
聞いていただいています。

が!ワオキツネザルが生息する「マダガスカル島」にはそれ以前
より日本人にはお馴染みの種がいます・・・・・

おさーるさんだよー♪

で有名な「アイアイ」です。

先日も娘が見ていた教育番組で陽気に歌われていましたが
当園の歴史と同じくらい長く歌われた童謡「アイアイ」に
より、私たち日本人の頭には「アイアイ」がサルだといやがおうでも
刷り込まれています。

なんだか、可愛く人懐っこいイメージの「アイアイ」、ところが
陽気に歌う日本人のイメージに反して、現地のマダガスカル島では
「アイアイ」は、忌み嫌われ「死や不幸の前兆」の象徴として
一時、絶滅の危機に瀕したほどなのです。
夜行性であり、あの大きな目がそうさせるのかわかりませんが
名前の「アイアイ」も現地の方が「恐怖して呼んだ言葉」が種名
になったとも言われています。現地では忌み嫌われ、遠く
離れたアジアの島国で親しまれていることは
なんとも不思議なものです。

実は「アイアイ」の曲の製作時に、作詞家の方が図鑑で見た
サルの名前の響きが良いということから、詞にしたことによる
もので、現地のことなど何も知らなかったそうなのです。
こんなことが背景にあります。

文化というものは不思議なもので、こうして私たち日本人
の中にはアイアイが絶滅しそうだと聞けば「こりゃ、ほっとけない」
と思う方もいらっしゃるでしょう。まったく知らないサルが
絶滅危惧種と聞いてもピンとこないのに・・・・って思想が
生まれるのではないでしょうか?今でも歌われていますしね。

海外の方からすりゃ、私たちが当たり前に見る
ニホンザルが世界で一番寒いところに
生息するサルなんで「そりゃ見なきゃ」となるそうで、
そういった感覚に
似ているかもしれません。

そのため、マダガスカル島の話からアイアイの話の展開は非常に
反応が良いです。日本人であればこの話を聞けばどなたも驚きでしょう?
実物すらほとんど見たことがないのに。。。。

私たちの日常にはこうしたことって結構あるんです。テレビ
や意図的に出されている情報。

今日は、自分の母校の職業講話を講師の一人として高校一年生
を対象に行ってきました。きっと生物系の大学などへ
進みたいと考える学生もいることでしょう。

「日本人の文化背景と動物たち」という事例で研究題材になりますよ。
人文系の学生でもオッケーかもです。どちらでもいけるということは
ここに共通する題材があるからです。

その流れで余談ですが身近なテーマで
神社やお寺で神様になっている動物たちもいます。あれ、どうしてなんでしょ?

関心を持ったら是非とも研究していただきたいですね。
そうした関連の文献もあるので一般の方々も資料集めるだけで明日から
立派な研究者です。

昨日に引き続き、少しお堅い話だったかもですが、動物園や水族館が
こうした関心や探究心の入り口になれればと個人的に思います。

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