信州須坂移住支援チーム

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カテゴリ: 峰の原高原ペンションオーナー暮らし体験, ペンションオーナー情報

2020/09/23

須坂市地域おこし協力隊 日下未夕の「峰の原高原へお出かけください♪」

「だいすき、みねのはら!」

こんにちは、峰の原高原地域おこし協力隊の日下です。9月後半になり、峰の原高原では白樺やナナカマド、レンゲツツジなどの黄葉・紅葉が進み、秋の深まりを感じます。周りでは、「昨晩は床暖房を入れたよ」「薪づくりをはじめなきゃ!」等、冬支度の様子も耳にするようになりました。
今回は、2020年9月をもって地域おこし協力隊を退任することになりましたので、峰の原高原との出会いや地域おこし協力隊として過ごした間の気づきや想いを綴らせていただきます。この原稿を作成しながら、「やっぱり峰の原高原が好きだな」と思いました。この記事を読んでくださった一人でも多くの方に「峰の原高原に行ってみたい!」「久しぶりに行ってみるか!」と思っていただけると本望です。


●はじめまして、峰の原高原
私が初めて峰の原高原を訪れたのは、2016年4月17日、約四年前のことでした。大学入学を機に初めて長野県を訪れ、「長野県らしいサークルに入りたい!」と思い温泉同好会に入会し、その初めての活動の帰り道、「星を見に行こう!」と先輩方と立ち寄ったのが真夜中の峰の原高原でした。その時は「プラネタリウムより星が見える!」「長野市の夜景きれい!」と感動したことを覚えています。この時は「峰の原高原」という名前も知らず、三年後“暮らす場所”になるとは想像もしていませんでした。

●知ってほしい、来てほしい、再訪してほしい
大学1年生の後期、講義で峰の原高原を訪れました。ペンションオーナーとお客さんの高齢化、ペンション数の減少、空きペンションの増加やそれに伴う景観問題…。様々な課題に直面している現状を目の当たりにし、「峰の原高原のことをもっと知りたい!」と思い、大学2年生から峰の原高原をフィールドに学ぶゼミに所属しました。ゼミ生とともに考えた峰の原高原の弱みは「知名度の低さ」でした。そのためまずは峰の原高原を知ってもらい、来てもらおうと、「ペンションごはん会」や「Mr.ヌーキー大作戦」などの学生対象の企画を行っていました。この頃から地域の方々に企画に協力していただいたり、観光協会のイベントのお手伝いをさせていただいたりと気がつけば月に1回以上は峰の原高原を訪れていました。


ゼミ活動を進めるうちに「また峰の原高原に行きたい!」という声が少しずつ出るようになりましたが、“車があれば”“イベントがあれば”“知り合いがいれば”という条件付きでした。この時、知ってもらえても、来てもらえても、再訪してもらえないと地域の持続に繋がらないと思い、「空きペンションを利活用してふらっと立ち寄れる場所づくりをしよう」と地域おこし協力隊に志望しました。そして、多くの方々のご支援があり、2019年4月、大学に在学しつつ地域おこし協力隊として活動を始められることになりました。

●峰の原高原での日常
上記のように意気込んで地域おこし協力隊になった私でしたが、実際は大学連携として学生向け企画の立案・実行や峰の原高原の案内をしたり、SNSや須坂新聞で連載をさせていただき日々の様子を発信したり、繁忙期となる8月の間に観光案内兼休憩スペースを設置したり、地域の環境整備事業に参加したり、観光協会のイベント補助をしたり、空きペンションの修繕・整備をしたりと様々な業務を行う日々でした。




協力隊となり半年が過ぎた頃から、「自分が必要だと思うもの」と「地域が必要としてるもの」の差異が少しずつ見えるようになり、地域の現状を見間違えていたと痛感しました。大学の講義で学んだり地域の方のお話を聞いたりする中では、「最盛期と比べるとペンション数が減少している、高齢化している地域」というネガティブな印象でしたが、「ココの人はココが好きで日々の暮らしをそれぞれのペースで満喫されていて、過ごされている地域」というポジティブな印象に変化しました。その中で私が当初考えていた「空きペンションを利活用したふらっと立ち寄れる場所」は、ペンション一軒一軒がそれだなと思うようになりました。これは私がココに住んでいるからという訳ではなく、ペンションオーナーさんがふらっと来た方から「この辺りに喫茶店などありますか」と尋ねられた時に、「峰の原内にはないんですよ。ですがうちでもよかったらどうぞ、大したお構いはできませんけれど」こんな日常がココの日常だったのです。このようなことを何度か見聞きするうちに、きっと私がすべきことは、峰の原高原の存在をただ知ってもらうことではなく、峰の原高原の人を知ってもらうことだと思いました。人を知れば、ハコがなくたって、その人に会いにくればいいのだから。そこに気が付いてからは、一緒に活動してくれている学生たちを地域の方にできるだけ会わせられるような機会をつくることを念頭に置くようになりました。そうすると、私がココからいなくなっても、学生が地域の方に顔を出すことで、何かの時に役に立てることがあると感じたからです。とはいっても私自身、きちんとお話できた方はココの地域のほんの数軒の方々に限りますし、学生に会わせることができたのも同様だと思います。ただ、少しでもすることが、地域の持続に繋がるのではないかと思います。“地域”や“観光”を学ぶ中で、観光資源は人、と感じてきましたが、地域おこし協力隊になり実感することができました。特に、ペンションを営む方は人好きの方が多く、高齢でペンション業を辞められたとしても、人好きの部分は変わらないぶん、老若男女問わず、ペンション業をするか否か問わず、人が結びつきやすく、地域外の人でも入りやすい地域なのではないかと思います。余談ですが、この夏に数軒のペンションでペンション業のお手伝いをさせていただきましたが、ペンション業はとにかく体力勝負だと感じました。私が言うのも差し出がましいとは思いますが、ペンション業を営みたいと考えられている方は“いつか”ではなく、“できるだけ若い時から”始めることをお勧めします。そして人好きの方々ですから、きっと様々なことを教えてくださると思います。

●自分が暮らす地域
“峰の原高原をフィールドに学ぶ学生”と“峰の原高原の地域おこし協力隊”一番の違いは、峰の原高原に自分の暮らしがあるかどうかだと思います。私はとてもありがたいことに、学生時代お世話になった方にペンションの経営は辞められたけれど峰の原高原が好きで住んでいるご夫婦を紹介していただき、一年半の間、居候をさせていただきました。そうすると、学生企画をするときにお世話になりづらい「観光協会や旅館組合に所属していない方」とお会いすることができました。また、日々のペンションのメンテナンスやお庭のお手入れ、雪かきなど、ココの暮らしの実情を知ることができました。さらに、居候で一人じゃないからこそ、新しい暮らしで様々な発見や戸惑いがあった時に「これは何ですか」と聞くことができ、少しずつ地域を知ることができたと思います。地域に自分の暮らしがあって初めて自分事として地域のことを知ったり理解したりできるのだと思います。ココに出逢えたこと、暮らせたことに感謝です。


●これから
「山登りもスキーもテニスもしない…どうしてココが好きなの?」
度々質問されました。気が付いた時には峰の原高原に引き込まれ、ハマっていました。私にとっては“高原に暮らすこと”そのものが驚きのことで、来るたびに変わる景色の色や地域の人の顔が見える温かさが心地よかったのかなと思います。
本来ならば、協力隊自身の経験を活かして、地域を盛り上げる活動をするのが地域おこし協力隊なのではないかと思いつつも、私はココで多くの経験を積ませていただきました。ココでの経験は、協力隊活動にとどまらず、これからの暮らしや人生で大切にしたいモノコト、価値観など多方面にわたりました。きっとどのようなこれからを過ごすにしても活きてくるものだと思います。そして何より、地域おこし協力隊としての活動は終了となりますが、峰の原高原が好きという思いは変わりません。これからは違う形で峰の原高原と関わることができたらなと思います。

●おわりに
―この地域をなくしたくない、もっとたくさんの人に知ってもらい、実際に来て、感じてほしい、というのを出発点に、これから活動していきたいと思います―
これは、地域おこし協力隊として一番初めに書いたメールマガジンの記事で自身が綴っていた言葉です。協力隊活動の中で、ココに住んではいないけど、定期的に訪れたり見守ったりしている「峰の原高原好きの方々」がいることを知りました。だからこそ私は「この地域は続いていく」と思います。そして私もその一人として、峰の原高原と関わっていきたいと思います。

初めての方も、再訪される方も、きっと何か心に残るものを峰の原高原は与えます。
ぜひ、峰の原高原にお出かけください♪

さいごになりますが、様々な形でご支援、ご声援をありがとうございました。
須坂市と峰の原高原の繁栄を心から願っています。
だいすき、みねのはら!

(須坂市地域おこし協力隊 日下未夕)

2020/09/07

峰の原高原へお出かけください♪ ペンションってこんなところ⑪『ペンションスタートライン』

こんにちは、峰の原高原地域おこし協力隊の日下です。9月に入り、ゲレンデには秋の山野草が咲き始めました。未だ日差しの強い日がありますが、着々と移ろう四季を植物たちが教えてくれます。
今回もペンションオーナーやオーナー夫人と話して感じた“ペンションってこんなところ”を紹介します。今回は『ペンションスタートライン』さんです。


●ペンションスタートライン、スタート!
ペンションスタートラインのオーナー古川さんは東京都から須坂市峰の原高原に移住し、1986年に古川さんのご両親が開業しました。その後古川さんは結婚し、ペンションを引き継ぎました。

●ペンション地下の秘密!
「川に魚を増やしたい」こんな思いから、NPO法人を立ち上げるほど、魚のことを想う古川さん。ペンションの地下には水槽がいくつも並ぶ部屋があり、「山にいながら様々な魚を見られる!」という不思議な体験ができます。また、「どうしても魚を一から育てたい!」という想いから、水利権を取得して、シナノユキマスや信州サーモン、イワナなどを養殖しています。ペンションでは古川さんの愛情をたっぷり受けたお魚たちを季節に合わせていただくことができます。


地下にいるのはお魚だけではなく、採集された昆虫や標本が数々います。はじめはゾクゾクする方もいるかと思いますが、慣れてくると、じっくりとひたすら観察できます。
「ペンションの階段を降りる」それだけの行為にこんなにワクワク・ドキドキすること、他にはないかもしれません。

●“好き”が詰まった館内
“ペンションに入ってからお部屋に行くまで”こんな少しの時間で、何冊もの本を目にします。本の種類やジャンルも様々で、絵本やマンガ、文庫に雑誌、魚系や虫系はもちろん、旅や温泉系、お料理系など、とにかく色々あります。どんな方でもきっと気になる本が見つかります。古川さんは本屋に行くと、1日かけて1フロアずつ見て回り、気に入った本はお買い上げだそう。多くの本が館内にあることにガッテン!

そのほか、玄関や廊下には木材や小石のクラフトたち、ダイニングにはほっこりかわいいパステルカラーの雑貨たちが並びます。こちらは奥さんのお好きなもの。色々なところにおふたりの“好き”が詰まっています。


●レシピ本は目で楽しむ!
「ペンションの楽しみの一つ、お料理。ペンションスタートラインのお料理は?」
―「地元食材・自家養殖魚の創作料理。季節のものを提供しています。峰の原高原内で採れた山菜の料理はもちろん、モミジやシラカバなど季節のものを料理の飾りに添えています。味付けは凝ってないけど、おいしいものを心がけています。以前は、料理各々の量は多めで5皿ほどでしたが、現在は量は少なめで7皿ほどにしています。お酒を呑む人向けということもありますが、種類を多くすることで、お客さまが苦手な料理があっても大丈夫なように、という思いもあります」

また、天ぷらや煮物は奥さま、サラダのドレッシングや魚に添える“たれ”を作るのは古川さんと役割を決められているそうです。
「たれを作る時はレシピ本を見ない!レシピ本は目で楽しむ!レシピを学ぶより盛り付けや色合い、他の食材で作ったらどうなるかなどレシピ本を見ながら想像します。あとは食材の香りを大切にしています。たれは、同じものは二度と作れません!」

伺った日のお料理でも、お豆腐には明太子×ごま油×ニンニク、焼き魚にはゆず×ショウガなど、口に入れた瞬間、これなんだろう!と楽しめました。ぜひ、五感をフル活用して、楽しんでいただきたいです。


●合宿≠団体
「陸上に限らず様々な合宿に対応されていますが、そのきっかけは?」
―「元々、団体のお客さんは受け入れていませんでしたが、恩師との繋がりで、中高一貫校の吹奏楽部の合宿を受け入れることになり、受け入れを始めて数年後、一年生だった生徒が引退する年になって。合宿を思って、涙を流す生徒がいたんだよ。これに心を動かされて“合宿を受け入れよう!”と思った。合宿は単なる団体ではなく、子どもたちの成長を見ることができる。一緒に育てている感覚を味わうことができる。OB・OGとして合宿に来てくれる生徒もいるよ」

二階の廊下には、多くの生徒からのメッセージ。ペンションスタートラインでの合宿を経て、次のステップへ。

「自分のスタートライン、初心を忘れないようにとこの名前を付けましたが、今では色んな人にとって意味のある名前になっているようです」

●おわりに
この夏、「星空夜会」や「生き物展」を開催するなど、いつでも新しいことに目を向けていらっしゃる古川さん。生き物や本、写真…ペンションスタートラインにある様々なモノコトが新しい出会いを導いてくれる、そんな場所です。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

ペンションスタートラインホームページ
https://oldriver4.wixsite.com/startline

(須坂市地域おこし協力隊 日下未夕)

2020/08/05

峰の原高原へお出かけください♪ ペンションってこんなところ⑩『ロッジアボリア』

こんにちは、峰の原高原地域おこし協力隊の日下です。雨や曇りが続く日々が一段落し、青空の見える7月最終日。峰の原高原のこもれび広場には山野草が続々と咲き始めています。
今回もペンションオーナーやオーナー夫人と話して感じた“このペンションってこんなところ”を紹介します。今回は『ロッジアボリア』さんです。


●二代目として峰の原高原に帰ってきました
ロッジアボリアの橋本さんは、東京都から須坂市峰の原高原に移住し、ご両親が1979年から経営していたペンションを2014年に引き継ぎました。
峰の原高原で育った橋本さん。会社勤めを経て、次のステップを考えていたところ、ペンションを経営していたお父さんが体調を崩したことを機に、峰の原高原に帰ることを決めました。

●大人の落ち着きとおしゃれな空間
峰の原高原に入り坂道を上っていくとひときわ目を引く黄色のロッジ。大きな窓から差し込む光と木材の温かみが大人の落ち着きを、洗練されたレコードや雑貨が大人のおしゃれを感じさせるダイニング。
また、少し区切られた空間にはソファーと暖炉があり、時には家族で、時には一人で、団らんやくつろぎの時間を過ごすことができそうな雰囲気があります。


●父の想いと母のパンに合うものを提供します
「父は『常に料理はおいしくなくてはならない』をモットーにしていました。オーナーの想いを引き継ぎ、母が焼く“ロッジアボリアのパン”に合うお料理やお酒を自らセレクトし、自信を持って提供しています。“今のままで満足”とならないよう、時には自身が客席に座り、料理の内容や料理を運ぶスピード、その他サービスを見直します」

●お客さんのセカンドハウスになるようなペンションに
「お客さんのセカンドハウスになるようなペンションにしたいと思っています。客室に何があったらお客さんがもっと快適に、居心地良く過ごせるかと常に考えています。自ら客室で寝てみたり、過ごしてみたりして、○○があった方がいいな、逆に△△はいらないな、と気づくことができます。また、旅先で宿泊する時にも気を付けています」


●自分の選択は間違えていなかった
「ペンション業とは?」
―「ペンションを引継ぎ五年、やっと慣れて落ち着いてきました。勤めていた時には当たり前のようにあったマニュアルがペンション業にはありません。だからこそ、自分が良いと思ったことを取り入れて、良くないと思ったことは改善して、個性を出してやっていけます。また、ペンション業はお客さんとの距離が近く、普通に過ごしていたら出会わない人と出会えます。自分と違う視野の人と出会えたり、知らないことを教えてくれる人に出会えたり。だからこそ、お客さんとの会話やコミュニケーションが大切になります。初対面は特に気を付けています。さらに、これはペンション業に限りませんが、二代目だからこそ、建物の維持や管理に時間とお金をかけなければならなかったり、お客さまへのサービスやお客さまとのコミュニケーションに戸惑ったりということがありました。ただこれは、ペンションをやっていく中でお客さまとの間に“サービスを超える瞬間”があり、それが喜びになるのでペンション業をやっていけます。総じて、“自分の選択(ペンション経営を引き継いだこと)は間違えていなかった”と思っています」

●ペンションも村もよりよくしたい
「峰の原高原のこれからは?」
―「現状維持は衰退、ペンションも村もよりよくしたい、このように考えています。現在峰の原高原に30歳代は数人。その一人だからこそ、地域の活性のための何かをやっていきたいと思っています。新しいことに挑戦して、若い層のリピーター作りをしていきたいと考えています」

●おわりに
峰の原高原で育ち、外に出て働いた経験があるからこそ、峰の原高原の良さ、ペンション業の良さを感じている橋本さん。ドローンを使った撮影やSNSを用いた発信など、この世代だからできることをして峰の原高原やペンションを盛り上げていらっしゃいます。また、地域の観光協会や旅館組合などでも役を引き受けられていて、峰の原高原のこれからを担っていく一人として活動されています。
現在オープンガーデン期間中です。毎年10月に峰の原高原で行われるお菓子パーティーでは橋本さんのお母様が焼かれるパンの販売もあります(今年の開催は未定)。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

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ロッジアボリアホームページ
https://www.avoriaz.jp/
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(須坂市地域おこし協力隊 日下未夕)

2020/07/20

峰の原高原へお出かけください♪ ペンションってこんなところ⑨『ペンションガーデンストーリー』

こんにちは、峰の原高原地域おこし協力隊の日下です。日本全国の至るところに被害をもたらしている長雨の終わりが見えてきた7月の今日この頃。分厚い雲を見慣れてきて、青空を少しでも見ることができたならば幸運のように感じます。
今回もペンションオーナーやオーナー夫人と話して感じた“このペンションってこんなところ”を紹介します。今回は『ペンションガーデンストーリー』さんです。

●山下ペンションからガーデンストーリーへ
ペンションガーデンストーリーの山下さんご夫妻は、東京都から須坂市峰の原高原に移住し、2002年に山下さんのご両親からペンションを引き継ぎました。
神戸市で生まれ育った山下さんのご両親は、「人生の後半は山に住みたい」と思って1976年に峰の原高原に移住し「山下ペンション」を開業しました。当時、山下さんは小学一年生だったそうです。その後ご両親が「最後は関西に戻りたい」という思いをもっていたため、山下さんが家族と一緒に東京から戻り、経営を始めました。
代替わりをして5年後の2007年。ペンションの約9割が自身らの苗字をつけていた時代とは異なり、だんだんとお洒落な名前のペンションが増えていたことや山下ペンションではどのようなペンションか分かりづらいこと等から、「ペンションガーデンストーリー」に改名しました。インターネットが普及してきた『検索』の時代ならではの発想です。

●この地を活かしたガーデン
ペンションガーデンストーリーのこだわりは、何といってもガーデン。ただ、庭造り好きが高じてガーデンを始めたわけではなく、峰の原高原がある国立公園では建ぺい率(土地に対する建物の割合)があり、建物が土地の20%と決められていることから、「お客さんが来る場所だから、広いお庭をきれいにしておきたい」と思ったことから始めたそうです。
「両親が園芸好きだったため、ある程度はきれいだったので、“もっときれいにしよう!”と思って始めたらハマりました。きれいになってくると、花好き・庭好きの人にも見てもらいたいと思うようになりました。須坂市でオープンガーデン事業が始まったこともあり、お庭を見るためにお客さんが来るようになりました。
昔は、小布施や善光寺、菅平高原で合宿をしている子どもの応援など峰の原高原に来る目的は様々でしたが、現在は、お庭を目当てに来るお客さんの比率が増えています。お寺巡りや温泉巡りと同じように“お庭巡り”という花だけを見に来る観光形態のお客さんです」

●限定三名のプライベートツアー!
「昔のお客さんは、特急+バス+お迎えだったけれど、今はほとんどのお客さんがマイカー。庭巡りの方は特にマイカーで色々なところに行くようです。ただ、ガーデン巡りはご夫婦そろって好きなわけではなく、ご婦人だけが好き、という方もいて車で来ることが難しい方もいらっしゃいます。そういう方のために、プライベートツアーという形で、長野駅まで迎えに行ってガーデンを巡り、上田方面におりてガーデンを巡り…、ということもやっています。長野県には、パブリックガーデンが複数あるのも魅力です」

●マニアックに、特化したペンション経営を
「ペンション業とは?」
―「今の時代、マニアックにやった方がいいですね。昔は東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県のお客さまが約9割を占めていて、その人たちはひとまず信州に来て、善光寺でお参りをして温泉に行って宿泊しよう、という漠然とした旅でした。また、ペンションブーム、テニスブーム、スキーブーム、長野県の場合はこの後にオリンピックがあったため漠然とペンションに泊まってみたい、スキーをしてみたいというお客さんが来てくれました。それこそ、道に縦列駐車していた時代、予約が取り切れず、満室で黒電話に布団をかけて聞こえないようにしていた時代もありましたよ。うちも三人のお手伝いの方に来てもらっていた時がありました。しかし、その後バブルがはじけてブームが去ってからは漠然とやっているとお客さんが来ない状況になりました。
今のお客さんはアニメの聖地巡りのように何か一つのものを目当てに動くようになっています。インターネットの普及とともに、それぞれの好みにあったものを選択するようになって、全員が一緒に動くより自分が好きなものを突き詰める、というように時代が変化しています。漠然と“ペンションやっています”と言うだけでお客さんが来る時代とは違います。
時代とともにペンションのスタイルも変化しています。漠然とやっているだけではお客さんが来ないので、うちのようにガーデンに特化したペンション、陸上合宿に特化したペンション、きのこに特化したペンションなど、峰の原高原でも何かしらに特化してやっているペンションがあります」

●ペンション一軒一軒が輝ける場に
「峰の原高原の魅力は?」
―「総合力がここの魅力。こんなにペンションが集まっているペンション村は多くない。ペンションはそれぞれ違うから、40軒あれば40個の魅力があって、その中のどれかに当てはまる人がいます。一軒一軒の魅力、素朴な魅力を見つけて発信することが大事です。ペンションでも、道端の山野草でも、空でも、涼しさでも何でもいいんです。つぶやきや投稿を見て“行ってみようかな”となる時代。興味を持つ人がピンポイントで来てくれます」

●器は同じでも中身は変えた方が良い
「峰の原高原のこれからは?」
―「ペンションは世代交代が難しいと思います。建ぺい率もあるので、こぢんまりと造ってあり、プライベートルームも二部屋ほどと少なく、物理的に二世代住むことが難しいです。また、経済的にも二世代が住み、暮らすだけの収入を得るのも難しい。ペンションは子ども世代が帰ってきたら、親世代は出なければいけません。さらに建物も築40年が過ぎ、メンテナンスをしていてもあと何十年持つか分かりません。そこで、ペンションを建て替えてまでやろうとは、ビジネスとして、現実的には厳しいことです。車を運転できなくなると峰の原高原を降りざるを得ないし、徐々にペンションの軒数が減っていくことも、人口が減っていくことも、お客さんが減っていくことも自然な流れです。もちろん、若い人が入ってくるのもいいことではあるけれど、劇的にこの流れを食い止めることは難しいです。
また、通年での営業が難しい場所でもあります。オンとオフがあり、観光案内所やそれに併設されたカフェやレストランは営業し辛い。こういう場所だから、普段はガラガラ、繁忙期は混雑、となってしまいます。
ペンションは、オーナー世代とお客さん世代がマッチングするんです。私の親世代の常連さんは30歳も年下の私との会話ではやはり違いが出ます。どれほど同じスタイルで同じ質のお料理を提供しても、オーナーの存在感が大きい宿泊スタイル。親世代の常連さんは今では年間で10組ほど。雰囲気を引き継ぐより、全く新しいものをやる方が良いので、器は同じでも中身は変えた方がペンションには良いです。ペンションを経営したい、純粋にここに惚れて山暮らしが好きで、というやる気を持った人がいれば、代替わりではなく、新しい人にペンションを引き継ぐ方がいいのではと思います。そうすれば峰の原高原は持続可能かもしれないですね」

●一生懸命やっておけば何かで繋がってくる
「若者へメッセージをおねがいします」
―「やるとなれば何でも大変。東京から一歩出れば、農家、商店、個人経営のレストランや宿がたくさんあり、人口や観光客が減る中で、みんなどこかで折り合いをつけてやっています。今勉強していることが将来に直接繋がるかは分からないけれど、一生懸命やっておけば何かで繋がってくると思うので、応援しています」

●おわりに
峰の原高原の最盛期を過ごし、二代目としてペンションを経営する中で、“オーナーが変わればペンションが変わる、オーナーが変わればお客さんも変わる”ということを実感されている山下さん。だからこそ、ペンションをやってみたい!という人がいればぜひ来てみてほしいとおっしゃっていました。「同じペンションはひとつもないのだから、ペンション一軒一軒が輝けるような村、個性あるペンションが集う村に。細分化されたツーリストが自分に合ったペンションや観光地を見つけることができる持続型の経営をしていきたいと思います」
オープンガーデン期間真っただ中のガーデンストーリーさん。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

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ペンションガーデンストーリーホームページ
http://www.janis.or.jp/users/v.yama/
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(須坂市地域おこし協力隊 日下未夕)

2020/07/06

峰の原高原へお出かけください♪ ペンションってこんなところ⑧『ペンションきら星』

こんにちは、峰の原高原地域おこし協力隊の日下です。
6月下旬になりましたが、梅雨で肌寒い日が続いています。峰の原高原の梅雨は、独特の“ジメジメ”や“ベトベト”を感じることなく過ごしやすい日々です。また、あやめが見頃を迎え、緑が広がるゲレンデに彩りを添えています。
今回もペンションオーナーやオーナー夫人と話して感じた“このペンションってこんなところ”を紹介します。今回は『ペンションきら星』さんです。

●お客さん同士が交流できる宿泊施設に
ペンションきら星のオーナー湊さんご夫妻は、東京都から須坂市峰の原高原に移住し、1997年7月に賃貸のペンションで開業しました。そして二年半後の1999年11月、「やはり自分たちの宿を持ちたい」という思いから空き家になっていたペンションを購入、修繕し、「ペンションきら星」を開業しました。
旅好きな湊さんご夫妻。お互いに若いころからユースホステルを利用した旅を通して、お互いが「いつかお客さん同士が交流できる宿泊業をやってみたい」と思っていたそうです。素敵なことにお二人でその夢を実現されました。

●子どもの宿泊も大歓迎!
約20年前に開業したペンションきら星。当時の峰の原高原にはすでにたくさんのペンションがありました。しかしその中でも、「子ども大歓迎」を大きく打ち出しているペンションは少なかったそうです。以前はスキー場に託児所があったこともあり、小さいお子さんがいる家族のお客さんが一定数いたこと、湊さんご夫妻の子育ての時期とリンクしたこともあり、「子ども大歓迎」をペンションのテーマにしました。離乳食、アレルギー食にも対応しています。
ご自慢のプレイルームは半地下にあり、なんと22畳という広さ。色々なおもちゃとたくさんの種類の本があります。ここにあるおもちゃの中には、常連のお客さんが「おさがり」としてくれたものもあるそうです。また、トランポリンやスラックラインなど大人でも一度はやってみたい!と思うものもあります。床全体にじゅうたんが敷いてあり、とんでも!はねても!転んでも!安全安心な空間です。


「当時、離乳食を用意していたお子さんがもう成人しています!大人より子どもの人数の方が多いという時期もありました!」近年では、半地下の涼しさを生かし、夏の陸上合宿でミーティングルームとして利用されたり、音の漏れが少ないことから楽器の練習に利用されたりすることもあるそう。使い方は無限大です。

●お客様と一緒に採ってきたものを料理します!
ペンションきら星では、峰の原高原の標高だからこそできる山菜採りや根曲がりだけ採り、きのこ狩りのガイドをしています。危険を伴うため興味があっても採りに行きづらい根曲がりだけやきのこを、お客さんと一緒に安全で楽しく採りに行き、それを調理してお料理に出すのがきら星流。オーナーが採ってきたものを調理して出すペンションはありますが、“一緒に採りに行って食べる”というペンションは珍しいのです。きのこの季節は採ってきたものをそのままお鍋にして堪能することができます。
湊さんご夫妻は元々きのこに詳しかったわけではなく、ある時、玄関先にきのこが出ていて「これは食べられるの?」となったことをきっかけにコツコツ調べたり勉強会に参加したりして詳しくなったそう。どこに、どんなきっかけがあるかわかりませんね。


●行きたいと思ってもらえるような発信を、楽しめる範囲で
「ペンションきら星のこれからは?」
―「お客さんに心配させるようになるとアウト。サービス業として掃除や食事で手は抜けません。宿泊業のメリットは予約制だからロスがない、待ちぼうけもない、在庫を持つ必要がないということです。ただ、昔は泊まることが目的だったけれど、最近は泊まること以外に目的がないと来ないので、人が来る目的が必要です。“自分が行きたいって思うところってどんなところ?”と言われて思い浮かべるところは、何かで見て、聞いて、“良さそう”って思ったところ。行きたいって思ってもらえるような発信を自分たちが楽しめる範囲でやっていきます」

●やれることをやれる範囲内でやること、我慢しないこと
「若い世代へメッセージをどうぞ!」
―「資金面に余裕のない若い世代にとって、空きペンションを買ってペンション業を始めることは現実的ではありません。夢と現実の差があります。ですが、人間はだんだん億劫になっていくから若いうちに何かを始めることが大事です。 “そこ聞く?”というような大人になると聞きづらいところも若いうちに聞いちゃえばいいんです。人生は何があるか分からないから“何年後○○行く!”というより、活動的に、やれることをやれる範囲内でやること、我慢しないことが大切です。“何年後”が元気かどうか分からないね」

●おわりに
ブログにInstagram、Facebook、とてもこまめに発信されています。ペンションきら星ってどんなところ?オーナーはどんな人?SNSを見ると確実に伝わってきます。今回きのこの話題について紹介をしましたが、きら星さんのお料理は旬のものをふんだんに使っていて、五感で楽しい!と私は思います。そのあたりもぜひSNSからうかがえると思いますのでチェックしてみてほしいです。話し声と笑顔あふれるペンション。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。


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ペンションきら星ホームページ
https://www.p-kirabosi.jp/
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(須坂市地域おこし協力隊 日下未夕)

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