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信州須坂移住支援チーム
投稿の詳細: 移住、カッコよさより普通こそ
2023/02/07
移住、カッコよさより普通こそ

2/7本日付の日本経済新聞(26面・経済教室)に『移住、カッコよさより普通こそ』と題して掲載されました。
移住希望者の現状、国や自治体が進める移住支援事業の課題を紹介しています。
●移住、カッコよさより普通こそ
「私でも移住できますか」。これは長野県須坂市へ転職移住を希望する単身者の声だ。私は市役所で移住支援を担当し今年で9年になる。世間では、移住といえばカフェ経営や起業、テレワークなどカッコいい移住者のイメージが定着している。新聞、雑誌、テレビもそうした人たちに焦点をあてた取り上げ方が多い。
しかし、実際に私が相談を受ける移住希望者で起業やテレワークで移住をする人はごくわずかだ。当市で開催する移住相談会に訪れる移住希望者の多くは、都会で普通の会社に働き、転職経験もある。特殊な資格や経験を持つのはごくわずかである。相談者の多くは移住後も普通の会社に転職し、普通の暮らしを希望している。イメージと実態とが、かけ離れていると言わざるを得ない。
それもそのはず。就業者の9割近くがサラリーマンであり、仕事なしには移住できないのが現実だろう。大多数の移住者が転職を伴う移住を希望していることは容易に想像できる。
一方、国や自治体の移住支援策は起業支援やテレワーク、ワーケーションなど、メディアが紹介する世間一般のイメージに添った見栄えのいい事業に傾きがちだ。だが、実際の移住希望者に寄り添った施策でないと、多くの移住希望者が国や自治体の移住支援策から漏れてしまう。移住に結び付かないだけではなく、移住希望者の要望に応えられない支援事業に予算をかけることになる。
先日、首都圏から移住してきた方が市役所を訪れた。1年前、東京で開催した当市の移住相談会をきっかけに、須坂市内に移住して働き始めた。「30年間都会で暮らしましたが、すっかり地方の暮らしが気に入りました。なんでもっと早く移住しなかったのだろう」と話しながら、すがすがしい笑顔で帰って行った。
そろそろ、メディアでもカッコいい移住者ばかりでなく、普通の移住者が普通に暮らしている様子も紹介してはどうだろう。国や自治体では移住希望者の実態に合った移住支援策がもっと増えないだろうか。そうした積み重ねこそが、一歩を踏み出せないでいる多くの移住希望者の背中を押してくれる一助につながると思う。
★下記URLからも記事をご覧いただけます
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1852U0Y3A110C2000000
(信州須坂移住支援チーム 加藤広明)
