須坂小学校は2023年に創立150周年を迎え、記念事業としてPTAの方たちが中心となり、小学校に受け継がれてきたお宝の展示を行いました。その中に、今回ご紹介する「御即位・大嘗祭絵巻」がありました。
この絵巻は、大正4年(1915)11月10日に行われた大正天皇の即位礼と、同年11月14日から15日にかけて行われた大嘗祭の様子をそれぞれ1巻に描いた絵巻で、大正5年に発行されています。即位礼は6つの場面を、大嘗祭は10の場面を古式ゆかしく行われた様子が色鮮やかに描いており、各場面には説明文が添えられています。
「御即位記念協会」なる団体が発行しており、同絵巻申込証の裏面に記載された内容から、仕様などは次のようになっています。
・2巻1対 幅1尺2寸、全長12間 絹箱入
・木版百余遍刷り、28彩色
・並製30円、上製40円、特製150円
※当時の10円は、日本銀行が発表している企業物価指数から計算すると約11,590円となりますので、並製で34,770円、上製だと46,360円になります。
絵巻の外にご紹介するのは、絵巻の購入にあたり学校が寄附を受けていた文書です。旧須坂町役場の文書を整理している中で、「須坂尋常高等小学校 寄附関係文書」があり、ここに絵巻の発行者である御即位記念協会が、「絵巻代金の内10円を須坂尋常高等学校に寄付する」とした記述がありました。そして、この文書には長岡市 野本恭八郎氏が大正5年6月29日に上製を発注した申込証と、発行元である御即位記念協会が絵巻代金のうち10円を、大正5年8月1日付で須坂小学校に寄付するという寄附申込みの書類が糊付けされて挟み込まれていました。
協会が、絵巻代金の内10円を須坂尋常高等学校に寄付するとしていますので、注文したのは学校と考えられますが、野本恭八郎氏の絵巻の申込証がなぜ糊付けされてあるのかは不明です。
また、絵巻代金については協会の外、田中新十郎氏、高橋庄右衛門氏、坂田喜作氏の3名連名で10円を寄付しています。
【寄附関係書類】
【絵巻(即位礼部分)】
【絵巻(大嘗祭部分)】
絵巻は、展示会終了後文書館に寄贈されましたので、当館では修復を行い保存しています。閲覧ご希望の方は文書館へ申請してください。(申請いただいてから、閲覧までに数日かかることがあります。)
なお、旧町村文書については現在整理中のものもあるため、2022年度時点での目録によりご覧いただけます。