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投稿の詳細: 米持町区有文書から「明治45年の米価高騰と区民への救済分配金」

2022/12/07

米持町区有文書から「明治45年の米価高騰と区民への救済分配金」

13:06:55, カテゴリ:  

 須坂市文書館は、個人のお宅や町、寺社などで保存されてきた古文書等の地域の記録や市や関係団体が作成し、保存年限が過ぎた文書を収集・整理・目録化し、保存・公開しています。
 古文書類については、核家族化や保存されてきた方の高齢化、蔵などの老朽化により処分されてしまうこともあります。古文書類は過去・現在・未来をつなぐ貴重な地域の宝です。そのため、文書館では積極的にその収集に努めています。
古文書類に興味を持ち、理解を深めて頂くため、文書館で整理した資料などを「もんじょ紹介」として冊子にしてきましたが、一部を抜粋するなどして紹介していきます。

米持区有文書から
「明治45年の米価高騰と区民への救済分配金」
新型コロナウイルスの影響や、電力・ガス・食料品等の価格高騰で生活が困窮する世帯に対して国や自治体では給付金を支給していますが、明治45(1912)年は東日本で2年続きの天候不良による不作で、大地主、穀商人の米囲い込みにより米価格が高騰しており、米一俵の値段は8円32銭と明治42年の4円に比べ倍以上になっていました。
米持区では明治45年(7月30日大正と改元)、米価高騰による年末の生活苦救済のため、一戸あたり10円を分配することを決議しました。財源は村所有の資金(神社費、貯金)130円余に、不足分は区有林及び鮎川、市川堤防内にある水害防備の妨げにならない立木を売却して充てることとしました。この立木売却代金は550円余と想定され、大正2年1月20日、区民68人が受領している文書です。

(史料番号013-B2-5)
大正弐年一月廿日 分配金領収証
今般米価昂騰ニ伴ヘ各自日々ノ生活ノ定
度高マリ年末ノ救済策ヲ講センガ為ニ諸
々之文題ヲ提出シ協議スル事再三ニ及ビ
其結果壱戸ニ付金拾円宛ヲ分割スル事ニ
決議相成仍テ該金ノ財源ハ神社ノ基
本金ノ残金ノ一部ト規約貯金ヲ掛ベキ
残額ノ一部ヲ合シ凡金壱百参拾余円ニ
区有林分割地上ノ立木ノ予定価額ノ売
却金ト鮎川市川堤防中ノ立木ト雖モ危
険ノ害ナキ限リ売却致シ其他木ニ於テハ
入用金額充ル迠売却ナシ今回ノ分配
金ヲ返済スル事ニ決定仍テ各自頭書ノ
金額正ニ領収仕リ候也
  大正弐年一月弐十日
       受領者氏名 印

◇古文書等寄贈、寄託のお願い
文書館では須坂市(旧須坂藩域を含む)に関係する歴史史料の散逸・滅失防止を図り、地域の歴史を掘り起こし、研究に資するため、市民共通の財産である須坂市や関係する古文書などの収集・整理・保存・活用事業を行なっています。
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